借入先の比較と検討

住宅ローンを「どこで借りる」というお話です。

たくさんある住宅ローンの中から、最終的に1つ借入先を決めなくてはいけません。
もちろん、住宅業者さんの提案やお勤め先の関係などで借入先が決まる方も多いと思いますが、ここではご自身で住宅ローンを選ぶ必要のある方への内容を記載していきます。

 

 

1 住宅ローン選びの大前提

地域によって使える住宅ローンは違う

自分にぴったりの住宅ローンを見つけても、住む地域で利用できなければどうしようもありません。
特に地方銀行などの地域金融機関では営業エリアが限られます。住宅ローンを探す時にはまず、住む地域が営業エリアとなる銀行で探しましょう。

 

借入基準を満たしている住宅ローンを探す

商品の比較をする前に、パンフレットや商品概要説明書などにある「ご利用いただける方」「お使い道」「借入金額」といった項目を確認しましょう。

住宅ローンは商品によって「借入できる方」の基準が違います。年齢や年収など、基準に合う中から探しましょう。

また所要資金のうち、どのくらいの割合を借入できるのかも、ご自身のプランに合うものを見つけましょう。自己資金があまり用意できない場合、例えば「所要資金の80%まで借入可能」のローンでは、お金が足りなくなってしまいます。

2 住宅ローンの比較項目

住宅ローンの商品を比較する時には「金利・手数料・保証料」の3点で確認されるのがいいと思います。抵当権設定費用や印紙代は、一般的にそれほど変わりません。

銀行のシミュレーションを、窓口やインターネットで利用すれば、手数料や保証料の概算が分かることも多いですし、パンフレットや商品概要説明書などに目安が記載されていますので、ご自身で計算することも可能です。

※連帯債務者がある場合には、上記3点に加え「団信の加入形態」も確認されておくと良いでしょう。

金利

ローン最終回までの利息を正しく比較できるのは、最終回まで金利が確定している「固定金利型」だけです。民間金融機関の住宅ローンだけでなく、フラット35も比較検討できます。

変動金利や固定金利期間選択型では、借入時の金利は正しく比較できますが、将来の金利変更後については曖昧な比較にならざるを得ません。

 実際の借入利率は、融資日時点の金利が適用される住宅ローンが一般的ですので、検討していた金利と、実際の借入利率が異なる場合があります。

 

手数料

手数料は金額がはっきり書いてあり比較しやすい項目です。

基本的には借入時の手数料を比較すれば良いですが、借入後に何回も「繰り上げ返済」する予定がある場合、繰上返済手数料も比較しておきましょう。

 借入時の手数料は、提携ローンや一定の条件を満たす場合に安くなったりするケースもあります。

 

保証料

保証料は、パンフレットや商品概要説明書などに目安が記載されていることが多いので、これもご自身で比較できます。

 住宅ローンによっては、保証料後払いとか、金利上乗せできるタイプもあります。その場合には、前払い保証料にした金額を目安にして比較してみましょう。

家と住宅ローンの諸費用

住宅取得に必要な「諸費用」についてのお話です。

どこまでを「諸費用」と呼ぶかによって取りあげる内容が違ってきますが、初めての方が「あっ、こんなのがあるんだ!」と心構えができる感じに記載したいと思います。

前半では住宅ローンを組んだ方に限らず、家を持つために必要となる諸費用について、後半は住宅ローンの諸費用を少し詳しくみていきます。

 

 目次

1. 家の取得と諸費用

2. 住宅ローンの諸費用

  • 事務手数料
  • 保証料
  • 団信の保険料
  • 契約書等への印紙代
  • つなぎ融資の費用
  • 抵当権設定費用
  • 火災保険料

 

1 家の取得と諸費用

一戸建てかマンションか、新築か中古かによって、また地域によっても必要な諸費用は変わります。ここでは、該当するケースが多く、ある程度大きな金額が発生する諸費用を大きく2つに分けてみます。

1 家を取得するための諸費用
2 入居し生活するための諸費用

 

家を取得するための諸費用

項目 説明
●不動産仲介手数料 土地や中古住宅などを、不動産業者さんを仲介して取得した場合の手数料
●印紙代 売買契約書や工事請負契約書などに必要な印紙代金
●登記費用 表題登記・所有権保存登記に必要な費用
 申込証拠金や手付金など、最終的に住宅代金の一部に充てられるものは除いています。

 

 

入居し生活するための諸費用

項目 説明
●引越し費用 新居への引越し代
●家具・家電等の購入費 新たに購入する家具や家電製品などの費用
●不動産取得税 取得(新築)した翌年に1回だけ課税される税金
●固定資産税・都市計画税 不動産を所有している間、毎年課税される税金


 

2 住宅ローンの諸費用

次は、住宅ローンを組むと発生する諸費用です。住宅ローンによっては必要ない項目もありますので「一般的なもの」としてご確認ください。

項目 説明
●事務手数料 ローンを組む際に支払う手数料です。
●保証料 保証会社へ保証委託するお金です。融資時に一括払いする方法の他、金利に上乗せされる後払い方式などができる住宅ローンもあります。
※保証料の必要ない住宅ローンもあります。
●団信の保険料 団信の保険料は銀行負担となる場合が多いですが、特約付き団信などは金利に上乗せされることが一般的です。
●契約書等への印紙代 ローン契約書等に貼る印紙代金です。
●つなぎ融資の費用 つなぎ融資が必要となる場合、利息や印紙代が必要となります。
●抵当権設定費用 抵当権設定する際の登録免許税や司法書士報酬の費用です。
●火災保険料 住宅ローンを組む方に限らずですが、住宅ローンを組む場合には、火災保険への加入が条件となっていることも多くあります。

 

保証会社 / 保証人

住宅ローンの「保証」についてのお話です。

融資の保証というと「保証人」を思い浮かべられる方も多いでしょうが、一般的に住宅ローンでは「原則、保証人は不要」となっています。

しかし、だからといって住宅ローンに「保証の仕組み」そのものが無いという訳ではありません。また、保証人は原則不要であっても、必要な場合が少なからずでてきます。
ここでは住宅ローンの保証の仕組みと、個人の保証人について見ていきます。

 

 

1 住宅ローンと保証会社

仮に銀行から「十分な保証能力を持つ保証人さんを1名付けてください!」と言われても、向こう20年、30年と大きな金額を十分に保証できる人を探し「保証人になってくれ!」とお願いするのは容易ではありません。

 

保証会社とは?

そこで住宅ローンでは、個人の保証人さんの代わりに保証をしてくれる会社等へ、保証を依頼することが一般的になっています。
この保証をしてくれる会社等を、一般的に「保証会社」とよんでいます。

 全ての住宅ローンで、必ずしも保証会社へ保証委託している訳ではありません。

 

保証を委託するお金「保証料」

借入者は、保証会社へお金を払って保証を引き受けてもらいます。この支払うお金を「保証料」といいます。

 保証料はいくら?
保証料はローンの金額や期間に応じて変わります。また、保証会社によっても違いがありますし、同じ保証会社であっても、保証する住宅ローンの商品内容によって保証料率に差があります。

 

保証会社は選べる?

保証会社は、申込する人が自分で探す必要はありません。
住宅ローンの商品と保証会社は1つのセットになっていますので、住宅ローンを選んだ時点で保証会社も決まります。

逆にいうと、好みの保証会社を選ぼうと思えば、その保証会社が保証している住宅ローンそのものを探さないといけません。

 

保証会社も審査する?

保証会社も借入者を審査します。誰でも保証してくれるという訳ではありません。保証会社が審査NGといえば、住宅ローンの審査は通過しません。

 

もしも返済ができなくなったら

借入後の話ですが、仮に「ローンが約束どおり返済できなくなった」時には、借入者の代わりに保証会社が銀行へ返済をします。この返済は「代位弁済」といわれ、返済を求める権利が銀行から保証会社へかわります。

借入者から見ると、代位弁済後は保証会社へ返済をする必要があります。

 

2 保証人が必要になる場合

保証会社が保証する住宅ローンであっても、個人の保証人さんを必要とする場合が少なからずあります。理由は色々ですが、ここではよくあるケースについて簡単に紹介します。
 

収入合算

年収や返済負担率の基準を満たすため、配偶者などの年収を合算して審査する場合、「収入合算者」は連帯保証人(あるいは連帯債務者)となる場合が多くあります。

担保提供者

抵当権設定する土地・建物の所有者が借入者と異なる場合、その「所有者」は担保提供者としての物上保証人、あるいは(住宅ローンの条件によっては)連帯保証人となる必要があります。

団体信用生命保険とは?

住宅ローンの返済中に「万が一」というお話です。

ここでは、返済途中で借入者がお亡くなりになったような場合に備えて加入しておく、団体信用生命保険について取り上げていきます。団体信用生命保険は、多くの住宅ローンで加入が条件となっています。

 

 

1 団体信用生命保険について

団体信用生命保険とは?

略して「団信」ともよばれるこの保険は、住宅ローンの借入者が返済中に亡くなられた場合や、所定の障害になられた場合、この保険金で住宅ローンを返済する目的でつくられています。

あくまで、住宅ローンの残高を対象とした保険ですので、残っているローン以上に保険金が下りることはありません。

 

団信の保険料は?

保険料は銀行が負担することが一般的になっています。

 特約付きの団信は?
三大疾病付など「特約」のついた団信に加入する場合は、その分だけ通常の金利に上乗せされた金利となることが多くあります。

 

団信に入れない場合は?

団信は所定の健康状態でないと加入できませんので、加入できない方もあります。

多くの住宅ローンで団信加入を条件としていますが、団信に加入できない場合には推定相続人を連帯保証にする、といった内容の住宅ローンもあります。
また、審査の過程で何らかの条件で住宅ローンが組める可能性もありますので、団信に加入できないと、どこの住宅ローンも100%望みがないという訳ではありません。

 

2 連帯債務者がある時の団信

借入者が1名なら団信も1名の加入となりますが、連帯債務者がある場合には団信の加入形態をよく確認しましょう。

保険金はどうなる?

連帯債務となって借入者が2名の場合、団信の加入方法はいろいろなケースがあります。

 主たる債務者だけ加入
主たる債務者だけ加入した場合、主たる債務者に万一のことがあれば、残っているローン全額が保険金で返済されます。逆に、連帯債務者に万一のことがあっても、保険金は下りません。

 2人が半々で加入
2人とも団信に加入し半分づつとなる場合、一方に万一のことがあれば、残っているローンの「半分」が保険金で返済されます。もう一方は、残された半分のローンを支払っていくこととなります。

 2人が任意の割合で加入
2人とも団信に加入し、任意の割合が付保できる団信があります。仮に7:3で加入すれば、7割付保した方に万一のことがあれば、残っているローンの7割が保険金で返済されます。もう一方は、残された3割のローンを支払っていくこととなります。

 2人とも100%で加入
2人とも団信に加入し、2人とも100%の割合となる団信があります。仮にどちらか一方に万一のことがあれば、残っているローン全額が保険金で返済されます。

 銀行やローン商品によって加入できる団信は限られています。もし連帯債務者がある場合には、加入する団信の内容をしっかりと理解しておきましょう。

住宅ローンの担保

リフォームローンや無担保住宅ローンなど、担保が必要ない住宅資金のローンもありますが、ある程度大きな金額の住宅ローンは通常、家が担保になります。
このことは一般によく知られていますが、ここではその「担保」についてもう少し具体的に、どういった内容のものかを見ていきたいと思います。

 

 

1 住宅ローンの担保について

そもそも担保とは?

担保というと土地や建物を思い浮かべられる方が多いでしょうが、住宅ローン以外も見渡してみると「預金や有価証券」だったり「自動車や機械設備」だったりと様々です。
担保とは「約束どおり返済できなかったら、担保を処分して返済に充ててくれ」という主旨のものです。

 

住宅ローンの担保は?

住宅ローンでは一般的に、ローンの対象となる家(土地・建物)が担保となります。
具体的な手続きは、銀行(または保証会社)と債務者(担保提供者)で、対象となる土地や建物についての「抵当権設定契約」を結び、この内容を法務局で登記します。

 火災保険への質権設定
住宅ローンの担保として、以前は火災保険への質権設定も主流でしたが、現在は必要に応じて行う銀行やローン商品が多くなっています。
ただ、質権は設定しなくても「火災保険に入ることは条件」とする住宅ローンが多くあります。

 

抵当権とは?

抵当権とは、ローンが約束どおり返済されない時、抵当権設定した家(土地・建物)の競売代金から、優先的にお金を受けとって返済にあてる権利です。

住宅ローンの場合、銀行(または保証会社)が抵当権者、債務者(物件の所有者が債務者以外にもいるならその人も)が抵当権設定者となります。

※仮に「建物が債務者」の所有、「土地が親」の所有だとすると、債務者と親が抵当権設定者になります。

 

登記の手続き

書面で抵当権設定契約を結んだ後、通常は法務局で登記の手続きを行います。
登記の手続きは、銀行等を通じて司法書士へ依頼することが一般的です。登記費用は通常、借入者が負担します。

 

2 どこが担保になる

一般の住宅の場合

通常は、ローンの対象となった建物とその敷地を抵当権設定します。

 「ローンを組んだのは建物代金だけ」という場合でも、その建物が建っている土地も抵当権設定します。

 

マンションの場合

集合住宅の場合は簡単にいうと「自分が持っている部分」を抵当権設定します。

 

3 ちょっとややこしい場合の話

担保提供者は保証人?

抵当権設定する土地・建物の所有者が債務者以外のとき、その所有者を「担保提供者」といいます。

担保提供者は、ローンが約束どおり返済されない場合に、その物件を処分して返済にあてる事を了承する「物上保証人」とよばれます。ただ、住宅ローンによっては、担保提供者は「連帯保証人」になることを条件にしている銀行や商品もありますし、審査の過程でそうなる場合もあります。

 担保提供者がいる場合、「物上保証人」なのか「連帯保証人」なのかを確認しましょう。「物上保証人」なら担保物件を処分されることに了承すれば済みますが、「連帯保証人」なら、ローンが約束どおりに返済されない場合、債務者と同じような責任が求められます。

 

相続や分筆の登記が必要な場合

住宅の建て替えや増改築、離れの新築などでは抵当権設定をするまでに、色々としなければいけないことが出てくる場合があります。

例えば・・・
建替えや増改築など、既に所有している土地や建物がある場合、お亡くなりになった方の名義になっていることがあり、場合によっては相続の登記が必要となります。こうなると相続登記が済まない事には抵当権設定の手続きが先に進みません。。。

例えば・・・
離れを新築する時、母屋と離れの敷地が1つなら母屋も担保に入ってしまいます。
母屋を担保に入れないようにするには、離れを「独立した家」にしないといけませんが、そうなると敷地面積や道路に接しているかどうかなど色々と考慮した上で設計したり、土地を分筆したりする必要が出てきます。。。

上記のような「どこまでを担保に入れるか」は、銀行や保証会社によって判断が分かれる場合があります。こういった場合には、あらかじめ住宅業者や銀行の担当者としっかり話をしましょう。必要に応じ土地家屋調査士や司法書士等の専門家に相談しながら話をつめていかないと、借入者だけではどうにも判断がつきません。

金利の色々

 

金利は支払う利息に直結しますので、住宅ローンを選ぶ時の大きな関心事であり、同時に悩みどころでもあります。

住宅ローンの金利にはいくつかのタイプがありますので、ここでは金利タイプごとの大まかな特徴を見ていきたいと思います。
また後半では、その金利を用いた利息の計算方法をについてふれています。計算方法を知らなくても特に問題はありませんので、必要に応じて見てください。

 

 

1 住宅ローンの金利タイプ

住宅ローンは色々な金利プランが提供されていますが、大きく分けると固定金利タイプと変動金利タイプになります。

 

固定金利タイプ

ここでは、ローン最終回まで金利が決まっているものを固定金利とよびます。
フラット35のほか、一般の銀行でも、独自の固定金利商品を取り扱っている場合があります。

 固定金利は最初にローン契約する時点で、最終回までの返済額が決まっていますので、フラット35や銀行の金利を比較するには、とても分かりやすいです。
また、将来金利が上がって返済額が増える心配がありません。

 現時点では変動金利タイプよりも一般に、高い金利設定がされています。

 

変動金利タイプ

変動金利は、定められたルールのもとで、一定期間ごとに金利が見直しされていきます。毎月変わるわけでなく、半年に1度とか、1年に1度とか、あらかじめ決められた期間ごとに見直され、そのつど返済額が再計算されます。

 

固定金利期間選択型

住宅ローンではメジャーな金利タイプに、固定金利選択型があります。2年、3年、5年、7年、10年などの固定期間が選択できます。

基本は「変動金利に一定の固定金利期間が設定できる」という内容です。例えば5年固定を選ぶと、5年間は金利が変わりません。しかしそれ以降の金利は、その時になってみないと分かりませんので、大きく分けると変動の金利タイプです。

 

 銀行やローン商品によって固定期間や固定期間終了後の扱い、選択手数料などに違いがあります。
店頭金利よりも「マイナス●%」といった「優遇措置」も多くの銀行で取り入れらています。「当初優遇」とか「ずっと優遇」などがあり、パッと見ただけでは、銀行ごとの比較がしにくいかも知れません。

 固定金利の特約期間が終わると?
借り入れた後の話ですが、特約期間が終わりに近づくと、通常は銀行から「終わりますよ~!」と何らかの通知が来ます。
その時、あらためて特約期間を選択できる商品が多いですが、商品によって特約期間が終わった時の流れに違いがあります。
最初の契約時点で「特約期間が終わった時の流れ」をきちんと理解されておくといいでしょう。

 

2 そもそも金利とは?

年利率(年利・年率)の表示

住宅ローンの金利は通常「年●%」と表示されています。
これは年利率(年利・年率)での表示であり、1年間で「残高×●%」の利息(利子)がかかるという意味です。

1000万円の年3%なら、1000万円×3%=30万円
よって、1年間での利息は30万円になります。

実際には月々の返済で「元金」を少しずつ返しますので、もう少し計算が複雑になりますが、基本は上記のとおりです。

 

月々の利息はいくらになる?

1ヶ月間の利息は「1年間の12分の1」です。

1000万円の年3%なら、1000万円×3%÷12=2.5万円
よって、1ヶ月間での利息は25,000円になります。

住宅ローンによって、月の日数を考慮した利息計算をする場合もありますが、2倍も3倍もかけ離れた利息額にはなりませんので、基本は上記の理解でいいと思います。

 

元利均等返済の計算方法!

住宅ローンで多く利用される「元利均等返済」は、月々の返済額が同じ金額になるよう計算されています。

月々の返済額には「元金と利息」の2つが入っています。
利息の計算は上述した通りですので、あとは元金の返済額がうまく調整されている、ということになります。

 さらに詳しく元利均等返済
以下は元利均等返済の実際の計算方法です。

元利均等返済の計算式

 元利均等返済の毎回の返済額(元金+利息)を求める計算式

●借入金額:※1 1円単位で
●利率  :※2 返済に応じた利率(%ではなく数値で)
●返済回数:※3 返済する回数(年数でなくて、回数です)

※1:仮に、千円単位の答えが求めたいなら千円単位で入れます。
※2:住宅ローンの場合は毎月返済なので、年利率を12カ月で割った利率が入ります(仮に年3%なら 0.03÷12=0.0025)。
※3:毎月返済の場合、返済期間が10年なら120回、35年なら420回が入ります。

 例:3000万円、35年返済、年利率3%の場合

毎月の返済額は、115,455円となりました。
端数の調整方法など、銀行によって違ってくる部分はありますが、基本的にはこれで住宅ローンの月々の返済額が計算できました。

返済の仕組み

 

住宅を取得するには、決めなくてはいけない色々なことが目の前にやってきて、労力も時間もたくさんかかります。
そんな中での住宅ローンの手続きは、借りる段取りを済ませるだけでもうたくさんっ、、、という声も聞こえてきそうですが、借りた後のことも少しだけイメージしておきましょう。融資を受けると必ずはじまる返済について取り上げていきます。

 

 

1 返済の仕組み

最初の返済はいつ始まる?

住宅ローンを借りると、翌月くらいから月々の返済が始まります。住宅ローンによっては、借入日と返済日のタイミングにより、借入したその月から始まることもあります。

 約定日(やくじょうび)
返済日のことを約定日ともいいます。住宅ローンの場合、最初の契約時点で「返済日は毎月●●日」と定めます。
住宅ローンによってはあらかじめ「毎月●●日」と決まっている場合もありますし、3つくらいの中から好きな日を選んで契約に定める場合もありますが、いずれにしても「毎月の決まった日」が返済日となります。

 

どこのだれの口座から引き落とし?

通常は借り入れた銀行の、借入者名義の口座から引き落としとなるよう、契約時に定めます。
連帯債務者がいる場合にも1人の口座から引き落としされます。連帯債務者の中で主たる債務者(主債務者)をあらかじめ定め、その方の口座から引き落としされることが一般的です。

 

ボーナス併用払いもできる

住宅ローン返済の基本は毎月払いですが、年に2回のボーナス返済月を定め、毎月返済額に加えてボーナス分の返済額を上乗せして支払う「ボーナス併用返済」もできます。
ボーナス月は任意の月を選べ、6カ月おきの設定となることが一般的です。

ボーナス分をいくらにするのかは、契約時に定めます。住宅ローンによって違いはありますが、借入額の50%くらいまでを上限としてボーナス払いの設定が可能です。

 ボーナス月には、「毎月の返済額」と「ボーナス月の返済額」を足した金額を返済します。ボーナス月分だけではないので、ちょっとご注意を!

 

2 2つの返済方法「元利均等」or「元金均等」

住宅ローンの金利は「年●%」といった年利になっていますが、返済方法が違うと同じ金利でも支払う利息に違いがでてきます。

 

元利均等返済が一般的

住宅ローンの返済方法は、元利均等返済が多く利用されています。元利均等返済は「毎回の返済額が一定」になるよう、元金の返済額が調整されています。

 金利が変われば毎回の返済額も変わります。念のため!

 

元金均等返済を選べる住宅ローンも

元利均等返済ほど一般的ではありませんが、元金均等返済が選べる銀行や商品もあります。元金均等返済は「毎回の元金の返済額」が同じになります。

 

 元金均等返済のメリット
元利均等返済にくらべ、元金の返済が早くすすみます。そのためトータルで支払う利息が少なくなり、返済金の総額が少なくなります。

 元金均等返済のデメリット
元利均等返済にくらべ、返済当初は毎回の返済額が多くなります。

元利均等でも元金均等でも、利息は残っている元金(ローン残高)に金利をかけて計算します。よって利息は返済当初が最も多くなり、返済を進めるにつれて少なくなっていきます。
「元金の支払い方」の違いに注目すれば、2つの返済方法の違いが理解しやすいかも知れません!

 

3 繰り上げ返済

借り入れる時には、あまり気にされない方もあるでしょうが、返済のとちゅうで、まとまったお金をまとめて返してしまう「繰り上げ返済」という仕組みがあります。

 

「全額繰り上げ返済」と「一部繰り上げ返済」

繰り上げ返済には大きく分けて「全額繰り上げ返済」と「一部繰り上げ返済」があります。

 全額 繰り上げ返済
・・残っているローンを全部いっぺんに返して完済します。
 一部 繰り上げ返済
・・残っているローンの一部分をまとめて返します。

 

「全額」の場合は単純ですが、「一部」の場合は、まとめて返した後の返済計画をどうするかという点で、さらに「期間短縮型」と「返済額軽減型」に分かれます。

 

一部繰り上げ返済の「期間短縮型」

期間短縮型は、まとめて返した分だけ「返済期間が短く」なります。毎月の返済額はそれまでと変わりません。

 

一部繰り上げ返済の「返済額軽減型」

返済額軽減型は、まとめて返した分だけ「毎月の返済額が減り」ます。返済期間はそれまでと変わりません。

 

繰り上げ返済と手数料

繰り上げ返済をする時、手数料のかかる住宅ローンが多くあります。
将来的に何回も繰り上げ返済をしようと思われる方は、借入銀行を選ぶ際、繰り上げ返済手数料がいくらか比較してみるといいでしょう。

 借入中で繰り上げ返済を検討されている方もあると思います。その場合には、繰り上げ返済のシミュレーションをすると、利息がいくら軽減されるか分かります。
もし仮にですが、軽減される利息より手数料が高くつく場合には、トータルの支出が増えてしまいますので、繰り上げ返済は控えましょう。

借入できる人の条件と審査

 

ローン全般にいえることですが、「誰でも借入できる」というものではありません。お金を貸す側の立場を考えてみると、貸したお金が返ってくる見込みがあって、初めて融資することができます。

この「返ってくる見込み」をどんな点で確認しているのかが、基準とか審査の内容そのものといえます。住宅ローンの場合にはどんな基準や審査があるのでしょうか。

 

 

1 借入できる人の条件

銀行の商品パンフレットや概要説明を見ると「ご利用いただける方」などと書いてある項目があります。
そこには、年齢や年収、勤続年数など「借入できる方の条件」が記載してありますので、まずはこれらの項目を満たしているか確認してみましょう。

銀行やローン商品によって条件は違いますが、ここでは記載されていることが多い内容を取り上げてみます。

 

年齢の基準

 お借入時の年齢が満●●歳以上●●歳未満
 最終ご返済時の年齢が満●●歳未満

ほぼ全ての住宅ローンで、上記のような年齢の条件があります。これはもう書いてある通りですが、年齢の上限は「以下」でなく「未満」と書いてあることが多い点に、ちょっと注意しましょう。

 例えば、年齢45歳6か月の方が35年のローンを組むと、最終返済の年齢は80歳6か月になります。
仮に満80歳未満が条件となっている住宅ローンなら、35年間のローンを組むことができず、34年と5ヶ月が最長の期間となります。

※銀行や商品によって借入期間が「1ヶ月単位」とか「1年単位」とかになっています。1年単位となっていれば上記の場合、最長34年となります。

年収の基準

 前年度の年収が●●●万円以上の方

ローン商品によってはこのような項目があります。この年収は給与所得者の方であれば、税金や社会保険料が控除される前の総支給額を指していることが一般的ですので、源泉徴収票でみると「支払金額」と書いてある部分になります。

 

勤続年数の基準

 勤続年数が●年以上

これもローン商品によっては記載のある項目です。同一の勤務先に何年勤務しているかを確認するもので、転職された場合にはリセットされる年数です。

 

団体信用生命保険への加入

この保険は住宅ローンの借入者が返済途中に死亡または高度障害となった場合、保険金で住宅ローンを全額返済することを目的にしています。
多くの住宅ローンでこの保険へ加入することが条件となっていますが、所定の健康状態を満たしていないと加入できない点に注意が必要です。

 

2 借入者ごとに上限額が変わる

人はそれぞれ収入も家族構成も、その他いろいろも、、、違いますので、毎月返済できる金額はそれぞれです。
ただローンの審査では一般的な目安として、年収額から返済できる金額を割り出す計算方法が用いられることがあります。それを返済負担率といいます。

 

返済負担率とは

「総返済負担率」とか「返済比率」などともよばれますが、これは年収に占める借入金返済額の割合のことです。

 例:年収400万円 1年間の借入金返済額100万円
100万円÷400万円=25%

この場合の返済負担率は25%になります。

ポイントは、住宅ローン以外の全ての借入金の返済額も含めて計算をすることと、利息を含めた返済額で計算することです。この返済負担率の上限割合を、30%とか35%とか、商品説明などで記載してある住宅ローンもあります。

 

3 借入者は1人とは限らない

1つのローンにつき、借入者は1人とは限りません。2人以上で借入者になることもあります。

 

連帯債務者

借入者のことを債務者ともいいますが、2人以上が債務者になる場合はそれぞれを連帯債務者といい、連帯して借入金の返済義務を負います。

連帯債務者は1つのローン全額を「連帯して返済する義務」を負います。債務者が2人の場合、仮に1人が全く支払わなければ、残りの1人が全額を返済しなければいけません。半々ではないのです。

 

住宅ローンで連帯債務者となるにはいくつかの理由が考えられますが、審査の条件を満たすためになるケースが一番多いのではないでしょうか。

 

 

収入合算

収入合算とは、2人以上の収入を足した額でローン審査をする仕組みです。

例えば夫婦共働きの場合、夫婦の年収を足した金額で審査を行うと、どちらか単独で審査するよりも多く借入できる場合があります。
収入合算してローンを組む時は、合算した人を連帯債務者または連帯保証人とする場合が一般的です。

※それぞれの銀行やローン商品によって、収入合算の計算方法には違いがあります。

 

親子リレー返済

読んで字のごとくですが、親子で住宅ローンを組む方法があります。この時にも親子で連帯債務者になります。

住宅ローンの多くは満80歳前後を最終の返済期限に定めてあります。仮に55歳の親が単独で借りると、長くても25年くらいの期間しかローンが組めません。しかしそこで、将来も同居を予定している30歳の子と一緒に借入すると、子の年齢を基準として長いローンが組めるというものです。

※親子だけでなく、親孫といった組み合わせもあります。また、最終返済時の年齢だけでなく、借入時の親の年齢も、基準を満たしていなくてもよくなる親子リレーの住宅ローンがあります。

 

ペアローン

夫婦がそれぞれ単独でローンを組み1つの家を購入する「ペアローン」といわれる借入方法があります。

連帯債務は1つのローンに2人以上が借入者となりますが、それとは違い、1つの家に2つのローンができます。ペアローンは夫婦でお互いにローンの連帯保証人になります。

住宅ローンの使い道|資金使途

 

自動車ローンや教育ローンなど、ローンには色々な商品がありますが、その借入金を何に使ってよいのかあらかじめ決められています。
ローンは商品によって審査の基準や借入の条件(金利・担保・保証など)が異なりますので、借入したお金は使い道を守って利用しなくてはいけません。

 

 

1 住宅ローンの使い道

一般的な資金使途

ローンの使い道は「資金使途」ともよばれますが、どこの住宅ローンでも以下のような項目が主だった資金使途になります。

  • 住宅の新築(それに伴う土地の購入)
  • 住宅の増改築
  • 新築建売住宅・中古住宅の購入
  • 新築マンション、中古マンションの購入

住宅ローンはその名の通り「住宅取得に必要な資金」に利用でき、住宅取得とかけ離れたお金の使い方はできません。

 

基本は「自分が住む家」

一般的に住宅ローンは、借入した本人が住む家のためのローンです。例えば最初から賃貸を目的とするような場合には、別な融資を利用しましょう。

 

 自分が住まない住宅は?

ただし、自分が住まなくても自分の親や子が住むための住宅には「フラット35の親族居住用住宅」や、銀行によっては一般の住宅ローンで利用できる場合があります。該当される方は確認してみてください。

また、「自分は離れに住んで世帯は別だが両親が住む母屋を増改築したい」とか、「すぐ近所の実家を建替えておき、将来的に戻りたい」などといった、自分の生活と完全には切れない関係にある住宅の場合、「資金使途」には書いてなくても、一定の条件のもとローンが組める場合もあります。このような場合には、あらかじめ銀行で相談されるといいでしょう。

 ご自身が住まない家のために住宅ローンを組んだ場合には、住宅ローン控除が利用できませんのでご注意を!

 

資金使途の違反?

ところで、住宅ローンで借りたお金を自動車の購入や旅行代金などといった、決められた範囲以外の目的に使用すると「資金使途違反」となります。

しかし「資金使途違反」にならないよう、定められた資金使途に利用することを証明するため、売買契約書や請負契約書などを銀行へ提出しなくてはいけませんので、流れにそって手続きをしていけば、一般的にそれほど気にする必要はありません。

2 商品によって差がある使い道

ひと口に「住宅ローン」といっても、銀行によって商品に差があります。さらに1つの銀行でも複数の住宅ローン商品を扱っていることが多く、それぞれ資金使途に差がある場合があります。

 

諸費用はどこまで借入できる?

住宅を取得するには、建物や敷地といった「家そのもの」以外に、たくさんのお金がかかります。これら諸費用のうち、住宅ローンで支払ってよいものと、そうでないものがあります。

 諸費用をどこまで資金使途に含めて良いのかは、銀行によって、また利用する住宅ローン商品によって大きく違う場合があります。

そのため同じ家を購入するにも、銀行やローン商品の差によって、借入できる金額に差が出ることがあります。

 できるだけ自己資金を使わずに借入金で支払いを希望する場合には、あらかじめ銀行の住宅ローン商品を比較し、どこまでが資金使途として認められているのかを確認しておくといいでしょう。

以下は住宅ローンの種類によっては、支払っても良いとなっている諸費用の例です。ご参考まで!

 住宅ローンによっては、資金使途として認められている諸費用の例
  • 土地や中古住宅・マンション等の仲介手数料・登記費用
  • 中古物件の固定資産税・都市計画税やマンション管理費の分担費用
  • 外溝費(庭や塀、車庫など)
  • 契約書に貼る印紙代(印紙税)
  • 住宅ローンにかかる諸費用(保証料・抵当権設定費用・事務手数料・団信保険料)
  • 冷暖房設備や照明・家電・家具等
  • 火災保険の保険料
  • 引越し費用
  • 不動産取得税 etc

 

住宅ローンで借入できない諸費用には?

住宅ローンで支払うことができない諸費用は、自己資金で支払うか、他の借入金を利用しなくてはいけません。

「住宅諸費用ローン」などの名称で、住宅取得に関連する諸費用を払うための専用ローンを扱っている銀行もあります。必要に応じて確認してみてください。