ローン全般にいえることですが、「誰でも借入できる」というものではありません。お金を貸す側の立場を考えてみると、貸したお金が返ってくる見込みがあって、初めて融資することができます。
この「返ってくる見込み」をどんな点で確認しているのかが、基準とか審査の内容そのものといえます。住宅ローンの場合にはどんな基準や審査があるのでしょうか。
1 借入できる人の条件
銀行の商品パンフレットや概要説明を見ると「ご利用いただける方」などと書いてある項目があります。
そこには、年齢や年収、勤続年数など「借入できる方の条件」が記載してありますので、まずはこれらの項目を満たしているか確認してみましょう。
銀行やローン商品によって条件は違いますが、ここでは記載されていることが多い内容を取り上げてみます。
年齢の基準
お借入時の年齢が満●●歳以上●●歳未満
最終ご返済時の年齢が満●●歳未満
ほぼ全ての住宅ローンで、上記のような年齢の条件があります。これはもう書いてある通りですが、年齢の上限は「以下」でなく「未満」と書いてあることが多い点に、ちょっと注意しましょう。
例えば、年齢45歳6か月の方が35年のローンを組むと、最終返済の年齢は80歳6か月になります。
仮に満80歳未満が条件となっている住宅ローンなら、35年間のローンを組むことができず、34年と5ヶ月が最長の期間となります。
※銀行や商品によって借入期間が「1ヶ月単位」とか「1年単位」とかになっています。1年単位となっていれば上記の場合、最長34年となります。
年収の基準
前年度の年収が●●●万円以上の方
ローン商品によってはこのような項目があります。この年収は給与所得者の方であれば、税金や社会保険料が控除される前の総支給額を指していることが一般的ですので、源泉徴収票でみると「支払金額」と書いてある部分になります。
勤続年数の基準
勤続年数が●年以上
これもローン商品によっては記載のある項目です。同一の勤務先に何年勤務しているかを確認するもので、転職された場合にはリセットされる年数です。
団体信用生命保険への加入
この保険は住宅ローンの借入者が返済途中に死亡または高度障害となった場合、保険金で住宅ローンを全額返済することを目的にしています。
多くの住宅ローンでこの保険へ加入することが条件となっていますが、所定の健康状態を満たしていないと加入できない点に注意が必要です。
2 借入者ごとに上限額が変わる
人はそれぞれ収入も家族構成も、その他いろいろも、、、違いますので、毎月返済できる金額はそれぞれです。
ただローンの審査では一般的な目安として、年収額から返済できる金額を割り出す計算方法が用いられることがあります。それを返済負担率といいます。
返済負担率とは
「総返済負担率」とか「返済比率」などともよばれますが、これは年収に占める借入金返済額の割合のことです。
例:年収400万円 1年間の借入金返済額100万円
100万円÷400万円=25%
この場合の返済負担率は25%になります。
ポイントは、住宅ローン以外の全ての借入金の返済額も含めて計算をすることと、利息を含めた返済額で計算することです。この返済負担率の上限割合を、30%とか35%とか、商品説明などで記載してある住宅ローンもあります。
3 借入者は1人とは限らない
1つのローンにつき、借入者は1人とは限りません。2人以上で借入者になることもあります。
連帯債務者
借入者のことを債務者ともいいますが、2人以上が債務者になる場合はそれぞれを連帯債務者といい、連帯して借入金の返済義務を負います。
連帯債務者は1つのローン全額を「連帯して返済する義務」を負います。債務者が2人の場合、仮に1人が全く支払わなければ、残りの1人が全額を返済しなければいけません。半々ではないのです。
住宅ローンで連帯債務者となるにはいくつかの理由が考えられますが、審査の条件を満たすためになるケースが一番多いのではないでしょうか。
収入合算
収入合算とは、2人以上の収入を足した額でローン審査をする仕組みです。
例えば夫婦共働きの場合、夫婦の年収を足した金額で審査を行うと、どちらか単独で審査するよりも多く借入できる場合があります。
収入合算してローンを組む時は、合算した人を連帯債務者または連帯保証人とする場合が一般的です。
※それぞれの銀行やローン商品によって、収入合算の計算方法には違いがあります。
親子リレー返済
読んで字のごとくですが、親子で住宅ローンを組む方法があります。この時にも親子で連帯債務者になります。
住宅ローンの多くは満80歳前後を最終の返済期限に定めてあります。仮に55歳の親が単独で借りると、長くても25年くらいの期間しかローンが組めません。しかしそこで、将来も同居を予定している30歳の子と一緒に借入すると、子の年齢を基準として長いローンが組めるというものです。
※親子だけでなく、親孫といった組み合わせもあります。また、最終返済時の年齢だけでなく、借入時の親の年齢も、基準を満たしていなくてもよくなる親子リレーの住宅ローンがあります。
ペアローン
夫婦がそれぞれ単独でローンを組み1つの家を購入する「ペアローン」といわれる借入方法があります。
連帯債務は1つのローンに2人以上が借入者となりますが、それとは違い、1つの家に2つのローンができます。ペアローンは夫婦でお互いにローンの連帯保証人になります。