住宅ローンの担保

リフォームローンや無担保住宅ローンなど、担保が必要ない住宅資金のローンもありますが、ある程度大きな金額の住宅ローンは通常、家が担保になります。
このことは一般によく知られていますが、ここではその「担保」についてもう少し具体的に、どういった内容のものかを見ていきたいと思います。

 

 

1 住宅ローンの担保について

そもそも担保とは?

担保というと土地や建物を思い浮かべられる方が多いでしょうが、住宅ローン以外も見渡してみると「預金や有価証券」だったり「自動車や機械設備」だったりと様々です。
担保とは「約束どおり返済できなかったら、担保を処分して返済に充ててくれ」という主旨のものです。

 

住宅ローンの担保は?

住宅ローンでは一般的に、ローンの対象となる家(土地・建物)が担保となります。
具体的な手続きは、銀行(または保証会社)と債務者(担保提供者)で、対象となる土地や建物についての「抵当権設定契約」を結び、この内容を法務局で登記します。

 火災保険への質権設定
住宅ローンの担保として、以前は火災保険への質権設定も主流でしたが、現在は必要に応じて行う銀行やローン商品が多くなっています。
ただ、質権は設定しなくても「火災保険に入ることは条件」とする住宅ローンが多くあります。

 

抵当権とは?

抵当権とは、ローンが約束どおり返済されない時、抵当権設定した家(土地・建物)の競売代金から、優先的にお金を受けとって返済にあてる権利です。

住宅ローンの場合、銀行(または保証会社)が抵当権者、債務者(物件の所有者が債務者以外にもいるならその人も)が抵当権設定者となります。

※仮に「建物が債務者」の所有、「土地が親」の所有だとすると、債務者と親が抵当権設定者になります。

 

登記の手続き

書面で抵当権設定契約を結んだ後、通常は法務局で登記の手続きを行います。
登記の手続きは、銀行等を通じて司法書士へ依頼することが一般的です。登記費用は通常、借入者が負担します。

 

2 どこが担保になる

一般の住宅の場合

通常は、ローンの対象となった建物とその敷地を抵当権設定します。

 「ローンを組んだのは建物代金だけ」という場合でも、その建物が建っている土地も抵当権設定します。

 

マンションの場合

集合住宅の場合は簡単にいうと「自分が持っている部分」を抵当権設定します。

 

3 ちょっとややこしい場合の話

担保提供者は保証人?

抵当権設定する土地・建物の所有者が債務者以外のとき、その所有者を「担保提供者」といいます。

担保提供者は、ローンが約束どおり返済されない場合に、その物件を処分して返済にあてる事を了承する「物上保証人」とよばれます。ただ、住宅ローンによっては、担保提供者は「連帯保証人」になることを条件にしている銀行や商品もありますし、審査の過程でそうなる場合もあります。

 担保提供者がいる場合、「物上保証人」なのか「連帯保証人」なのかを確認しましょう。「物上保証人」なら担保物件を処分されることに了承すれば済みますが、「連帯保証人」なら、ローンが約束どおりに返済されない場合、債務者と同じような責任が求められます。

 

相続や分筆の登記が必要な場合

住宅の建て替えや増改築、離れの新築などでは抵当権設定をするまでに、色々としなければいけないことが出てくる場合があります。

例えば・・・
建替えや増改築など、既に所有している土地や建物がある場合、お亡くなりになった方の名義になっていることがあり、場合によっては相続の登記が必要となります。こうなると相続登記が済まない事には抵当権設定の手続きが先に進みません。。。

例えば・・・
離れを新築する時、母屋と離れの敷地が1つなら母屋も担保に入ってしまいます。
母屋を担保に入れないようにするには、離れを「独立した家」にしないといけませんが、そうなると敷地面積や道路に接しているかどうかなど色々と考慮した上で設計したり、土地を分筆したりする必要が出てきます。。。

上記のような「どこまでを担保に入れるか」は、銀行や保証会社によって判断が分かれる場合があります。こういった場合には、あらかじめ住宅業者や銀行の担当者としっかり話をしましょう。必要に応じ土地家屋調査士や司法書士等の専門家に相談しながら話をつめていかないと、借入者だけではどうにも判断がつきません。